さしも

さしも
I
さしも
(助動)
〔中世後期の語〕
上一段・上二段・下一段・下二段活用の動詞およびそれらと同じ活用型の助動詞の未然形に接続する。 その動作の主体に対する尊敬および丁寧の気持ちを表す。 …なさる。 お…になる。

「造物がすてまいほどに此のままはて〈さしま〉うずらう/東坡詩抄 10」「中天竺迦毘羅城で生れ〈さしも〉たそ/勅規桃源抄 5」「世事を談し〈さしま〉は大盃の太白を以て罰盃をこみ申すべきぞ/四河入海 15」「花を折ては苦しうない事ぢや, 早う爰をゆるいて呉れ〈さしめ〉/狂言・花盗人(虎寛本)」

II
さしも
(動マ特活)
〔サ変動詞「する」に助動詞「さしも」が付いた「せさしも」の転。 中世後期の語〕
「する」の意の尊敬語。 なさる。

「かまへて妄りに人に泄たりなんと~・もなと云そ/史記抄 13」「かやうに後悔~・むな, ああと嗟歎して/毛詩抄 13」「人に行き当らぬやうに~・め/狂言・猿座頭」

〔活用は助動詞「さしも」に同じ〕
III
さしも【然しも】
〔副詞「さ」に助詞「し」「も」が付いた語〕
(1)あれほど。 あんなに。

「~無情な連中も涙なしには聞かれまい」

(2)「さ(然)」を強めた言い方。 そのようにも。

「心に少く慌てたれど, ~顕さで/金色夜叉(紅葉)」「何か~思す。 今は世になき人の御事はかひなし/源氏(若紫)」

~な・し
(1)そうでもない。

「よる鳴くもの, なにもなにもめでたし。 ちごどものみぞ~・き/枕草子 41」

(2)たいしたものでもない。

「~・き身を高く思ひ上げ/十訓2」

~の
さすがの。

「~秀才もその問題には歯が立たない」

~やは
まさかそんなことは(あるまい)。

「~とおぼしめし思ふ程に/栄花(暮待つ星)」


Japanese explanatory dictionaries. 2013.

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